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歯に対してシビアなヨーロッパでは、歯科定期健診や口腔ケアに通うのも日常的行為ですし、ドイツでは、加入する保険によって定期的な口腔衛生ケアの証明が義務付けられているケースまであるようです。歯科医師の判断により未成年者の歯列矯正も無料で施術されるなど、寛大な保険システムが歯の健康を後押ししている国が多いことも見逃せません。
一方で口内環境改善を図る歴史も長く、オーストリアの首都ウィーンでは今から30年前の段階で既にほとんどの子供がフッ素錠剤を毎日経口摂取しており、学級児童の半数が何らかの歯列矯正器具を着用していたとも伝え聞くほどです。またフィンランドでは1980年の時点でキシリトール入りガムが国全体で導入されたことは有名ですし、ヨーロッパはアロマテラピー発祥の地として、オーガニック製のティーツリーオイルを用いた歯周病予防といった古来からの知恵も連綿と受け継がれています。
かくして、豊かな福祉と長く培われてきた口腔ケアの歴史が、ヨーロッパ人の歯に対する意識を更に高めているのは間違いないでしょう。
日本はヨーロッパと比較すると、考え抜かれた栄養バランスの食事や完璧な紫外線対策など、健康面でも美容面でも国民の意識が抜きんでて高く、専門家レベルの知識を備えている一般人も少なくありません。しかし、歯科分野に限ってはヨーロッパと逆転現象が起こっており、これだけ切実であるにもかかわらず、なぜか放置されてしまいがちな印象です。
特に歯周病は、痛みもなく進行する「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」と称され、日本人の30歳以上ではなんと約8割もの人が患っていると言われる病気。手遅れになってしまう前に歯科分野の情報収集に励み、定期健診や家庭でのセルフケアを万全に行うことが肝心なのではないでしょうか。
美味しい食事も病気知らずの楽しい人生も、すべて歯の健康があってこそ。一人ひとりが丈夫な歯と美しい歯並びを保持し、いずれ“歯科分野の先進国”と称賛されるよう、益々取り組んでいきたいものですね。