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クリスマスケーキの中にも糖質制限ケーキがあるそうです。
甘味料は何を使っているか?と見てみると、
エリスリトール、ステビア、
スクラロース、アスパルテーム
などの中から選んで使われていることが多いようです。
これらはいずれも単独であれば虫歯の心配はありません。
ただし現在、先進各国では過剰な砂糖摂取による健康への悪影響が広がりつつあります。
そのため食品業界では砂糖の代替品として人工甘味料を用いることで、ヘルシーなノンシュガー食品を開発するようになりました。
有名な人工甘味料として知られるアスパルテームは、グラムあたりのカロリーは砂糖と同じ(4 kcal / g)でありながら、砂糖の200倍の甘さを持ちます。
そのため、砂糖と同じ甘さにするに200分の1の量ですむため、ほぼノンカロリーで食品に甘さを与えることが可能になっています。
またアセスルファムKは若干の苦みがあるものの、アスパルテームと同じような甘さを備え、グラムあたりのカロリーは驚異の「0」となっており、血糖値にも影響せず虫歯の原因にもなりません。
これらの人工甘味料は1960年代に開発されて以降、現在に至るまで極めて安全な砂糖の代替品として多くの食品加工に利用されてきました。
しかし人工甘味料は一般に天然に存在しない成分であり、安全性を疑う声は根強く存在していました。
特に人工甘味料が、がんの原因になるとする研究結果がたびたび報告されては公の機関から否定されるといった事例が続いており、人々の不信感を煽る原因にもなっていました。
そこで今回、ソルボンヌ・パリ・ノール大学の研究者たちは代表的な人工甘味料として知られるアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースの3つについて、大規模な調査を行い、がんとの関連性を改めて検証することにしました。
調査にあたっては、10万人以上のボランティアの人々の食生活を2009年から2021年にわたって10年以上も追跡するという、大規模かつ長期のデータ採集と分析が行われました。
結果、人工甘味料の消費量とがんリスクの間に関連性がある(正の相関がある)ことが判明します。
特にアスパルテームの消費量が多い人は非消費者に比べて、がんリスクが15%も高く、乳がんのリスクにおいては22%も高くなっていました。
またアセスルファムKの消費量が多い人も非消費者に比べて、がんリスクが13%高いことが示されました。
一方で、スクラロースとがんリスクの関係は非常に微々たるものでした。
これらの結果は、人工甘味料の主力となっているアスパルテームとアセスルファムKの消費量とがんリスクの間に何らかの関連性があることを示します。
では人工甘味料を使うと人間は本当にがんになってしまうのでしょうか?
「YESとは言い切れない」ようです。
というのも、今回の研究は人工甘味料が、がんを引き起こすかどうかを調べたものではなく、人工甘味料の消費量とがんリスクの関連性を調査したものだからです。
どちらも同じような内容に聞こえますが、実は大きな違いがあります。
人工甘味料をがんの直接的な原因であると断定するには、人工甘味料が細胞に与える毒性を証明しなければなりません。
しかし今回の研究では人工甘味料の消費量とがんリスクの関連性(相関)を示しているのみであり、原因(因果関係)を証明しているものではないからです。
また人工甘味料を消費している人々の生活習慣を調べたところ「女性」「若い」「喫煙者」「運動量が少ない」「DMにかかっている」という偏った特性を持つ人々の割合が大きくなっていました。
パーティー会場でコーラを注文する場合、太っていて糖尿病の人やダイエットに悩む若い女性の場合、人工甘味料入りのコーラを頼む可能性が高く、健康な人の場合は気にせず砂糖入りの普通のコーラを頼むケースが多くなります。
同じような選択はパーティー会場だけでなく日常生活全体にも当てはまるはずです。
喫煙者であり運動量が少なく糖尿病にかかっている人の場合、肥満関連のがんや肺がんになる確率が高くなることが知られています。
研究者たちは「女性」「若い」「喫煙者」「運動量が少ない」「糖尿病にかかっている」といった「上記の要素を統計的に調整した場合でも、人工甘味料の消費とがんリスクの関係が存在していた」と述べていますが同時に「全ての要素が調整できたわけではない」とも述べ、人工甘味料の消費量と生活習慣の関連性を認めています。
ただ、さまざまな人工甘味料の摂取量とがんリスクを直接比較した研究(コホート研究)はこれまでにほとんど存在しておらず、今回の試みが草分け的な研究である点は重要です。
現在、日本などの公の機関は流通している人工甘味料には目立った健康上の問題はないと考えていますが、これは全ての人が等しく健康に影響を受けないことを示すものではありません。現に研究者たちは論文の最後に、人工甘味料を砂糖の安全な代替品であると信じることはまだできないと結論しています。
ですのでクリスマスケーキも食べ過ぎないようにしたいものですね。