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海外では、フッ化物を水道水中に添加し、多数の人を対象に虫歯予防を行う「水道水フロリデーション」を実施しているところがあります。
この水道水フロリデーションは、香港、シンガポール、マレーシア、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、英国などの多くの国々や地域で導入されています。
フロリデーションの安全性や効果については、世界保健機構(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの世界の専門機関が安全性を認めており、普及を支持しているのが現状です。飲むお茶の中には、比較的多くのフッ化物が含まれています(0.5~0.7ppm)。しかし、通常のフッ化物洗口溶液のフッ化物濃度 (225~900ppm)と比べると、その濃度は低く、ほとんどむし歯予防効果を期待することはできないです。
水道水フロリデーシヨン(水道水フッ化物濃度調整、フロリデーション、communal water fluoridation)では比較的気温の高い地域では0.7ppm程度でも十分なむし歯予防効果が得られるのですが、水道水フロリデーシヨンの場合には、直接飲むだけではなく、ご飯を炊くにも、味噌汁をつくるにも、料理にすべて使います。そればかりか、コーラやビールをつくる工場でも使いますので、飲食物すべてにフッ化物が入ることになります。以上のことから、むし歯予防に対してお茶をのむのとフッ化物洗口が違うことや例え同じフッ化物濃度でも水道水フロリデーシヨンとは全く違うことが分かると思います。
残念ながら日本では人工的に水道水フロリデーションを実施している自治体はありません。しかし、水道水フロリデーション実施に向けて議論が行われている自治体はあるようです。
虫歯は「歯の質の問題」、「お口の中の細菌」、「飲食の取り方」、「食べ物が口の中に停滞する時間」が重なることによって発生します。
フッ素を適切に取り入れることで虫歯リスクの減少が見込めます。
ですので元来日本ではフッ化物歯面塗布を1994年度から医療保険の給付対象になりました。
フッ化物歯面塗布によるむし歯予防効果はその方法によって大きく異なります。乳歯のむし歯予防として、新潟県の一つの村の全乳幼児を対象に、生後10ヶ月から3歳まで2ヶ月毎に年6回の塗布をおこなった特別な研究がありますが、乳歯のむし歯数が平均6.69から2.04本へと69.5%の減少、むし歯が全くない3歳児の割合が17.7%から51.5%に増加し、予想をはるかに超える大きな予防効果が得られました。これは、診療所にこられなかった幼児にも、全村にわたり家庭訪問までして2ヶ月に1回の塗布を徹底しておこなったものです。しかし、普通おこなわれている年3回程度の塗布では、むし歯の予防効果は20%程度、やったりやらなかったりではほとんどその効果は期待できないということも知っていなければならないでしょう。
フッ化物歯面塗布は歯の萌出期、交換期を通じて、萌出間もない歯に行うのが効果的です。萌出直後の歯の表面のエナメル質は、むし歯に罹りやすい反面、エナメル質にフッ化物が取り込まれやすいのです。乳歯であれば生後半年ころに下顎の乳前歯が生えてきて、3歳には乳臼歯も含めて全部の歯が生えそろいます。一方、永久歯であれば、成長の早い女の子ではもう4歳から、多くは5、6歳に最も大切な第一大臼歯が生えてきます。そして、第三大臼歯(親しらず)を別にすれば、もっとも遅く萌出する第二大臼歯は中学生で萌出し、2、3年かけて成熟するのです。結論的には、0~15歳まで定期的に年4回以上の塗布がよいのかと思われます。